来シーズンへの期待を膨らませるいぶし銀のプレー
シーズンの開幕前に描かれた青写真が狂いかねない状況を救った金崎は、来シーズンを戦う上でも必要不可欠。完全移籍への切り替えは、何よりも真っ先に着手すべき補強策だったわけだ。
ナビスコカップを制してから1週間後。ホームのカシマスタジアムに横浜F・マリノスを迎えたセカンドステージ第16節でも、金崎は味方のゴールにつながるいぶし銀のプレーで魅せている。
開始10分。自陣でボールを奪うと、MF遠藤康が約40mのドリブル突破でマリノス陣内へ切り込む。左後方をカイオがトップスピードでフォローする状況で、金崎は2トップを組んだ赤崎秀平とともに左から右へ、斜めの軌道を描くフリーランニングで中澤佑二と小林祐三を幻惑する。
左前方にポッカリと空いたスペースへ侵入してきたカイオが、遠藤からのスルーパスをダイレクトで叩き込んだ。
「フリーになった僕を見てくれた味方に感謝したい」
後半19分にも追加点をゲットし、入団2シーズン目で堂々の2桁ゴールに到達させたカイオが笑顔を弾ませれば、遠藤も自分だけの力でマークしたアシストじゃないと力を込めた。
「ムウや(赤崎)秀平がスペースを作ってくれたので、自分はカイオにパスを出すだけでした」
負けはもちろん、引き分けてもサンフレッチェ広島の優勝が決まった一戦。キックオフ前の時点でリーグ最少失点を誇ったマリノスの堅守に風穴を開け、守っては危なげなく零封する。
サンフレッチェとの勝ち点差は3。得失点差が大きく開いている関係で逆転は難しく、したがってホームに名古屋グランパスを迎える22日の最終節がシーズン最終戦となる可能性が極めて高い。
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