トップを務める能力が備わったフィジカルと強靭なメンタル
兵庫県の強豪・滝川第二高校から2007年に加入した大分トリニータ、そして2010年に移籍した名古屋グランパスでは、サイドを主戦場にしたドリブラーだった。
2013年1月にブンデスリーガのニュルンベルクへ、その年の9月にはニュルンベルクとの契約を解消してポルトガル2部のポルティモネンセへ移籍。2014‐15年シーズンは背番号「10」を託され、17試合で9ゴールという記録を残した金崎は、2年の間にプレースタイルを大きく変えていた。
おそらくは異国の地で、生き残っていくために試行錯誤を繰り返してきたのだろう。頼もしそうな視線を向けながら、鈴木部長が今シーズンの金崎の軌跡を振り返る。
「あんなに頑張る選手だとは思いませんでしたよ。チームにいい影響を与えてくれましたよね」
最前線で相手のセンターバックと壮絶なバトルを繰り返す。体を張ってボールを収める。最終ラインの裏へ泥臭く抜け出す。貪欲なまでにゴールを狙う強靭なメンタルは、幾度となくアントラーズを鼓舞してきた。180cm、70kgのボディにはトップを任せられる能力がほぼ完璧に搭載されていた。
ファーストステージの開幕戦、2戦目こそサイドでの先発だったが、古巣グランパスと対戦した第3節からは1トップもしくは2トップの一角をゲット。リーグ戦でMFカイオに次ぐチーム2位の9ゴール、ナビスコカップでは決勝を含めた5試合で5ゴールを量産した金崎は絶対的な存在となった。
アントラーズは金崎よりも前に、FW高崎寛之を徳島ヴォルティスから完全移籍で獲得している。左ひざの大けがで2014年10月から長期離脱を強いられている、FWダヴィの穴を埋める補強だった。
そのダヴィはセカンドステージの開幕戦から復帰するも、10試合に出場して無得点。高崎もリーグ戦では無得点のまま、8月に入ってモンテディオ山形へ期限付き移籍している。