攻撃のアクセントを加えた柏木の配給
3-0の勝利でシンガポールに“リベンジ”を果たした日本代表。金崎夢生の先制ゴールから本田圭佑の追加点、最後はセットプレーの二次攻撃から吉田麻也と3つのゴールが生まれたが、中盤で日本代表の攻撃リズムを作り、時にアクセントの効いたパスでシンガポールの守備に揺さぶりをかけたのはハリルJAPANで初先発となった柏木陽介だ。
4-2-3-1の左ボランチに配置された柏木。序盤は何度かミスパスがあり、そこからカウンターのピンチを招きかけたものの、周りを見渡しながらショートパス、ミドルパス、サイドチェンジを使い分け、時に鋭い縦パスを狙って相手のディフェンスを脅かした。
前半の2得点を直接演出したわけではないが、ワイド志向の攻撃にアクセントを加える柏木のパスワークがある種の“ボディブロー”になっていたのは間違いないだろう。
「相手を寄せるパスと裏に出すパス、サイドに散らすパスというのを自分の中でうまく選んでプレーできたというのはあるし、ちょっとバタバタしたときに落ち着かせること、あとは切り替えてボールを奪いにいくところも自分の中でできた」
そう振り返る柏木の真骨頂とも言えたのが、周りの選手の特徴を考えた配球だ。今回の基本コンセプトはサイドを起点にして相手のディフェンスをワイドに広げる攻撃であり、左利きでもある柏木の展開力はダイナミックなパスでより生きることが予想できた。
しかし、実際はトップ下の清武弘嗣、後半の途中から入った香川真司に通す短いパスが多かった。その理由を柏木はこう説明する。
「特に真司とキヨ(清武)はボールを触りながらじゃないと自分の良さがでないと思うから、そこは触らせてあげることを意識してプレーして、というのが自分の中ではあった」