本田圭佑【写真:Getty Images】
MF香川真司もFW岡崎慎司も先発メンバーから外れたシンガポールとのアウェイでの一戦。それでもFW本田圭佑は、今や代表では定位置となった右ウイングのポジションに立っていた。
ハリルホジッチ監督がメンバー発表会見で「香川は時に休養することを学ばなければならない」と語っていたことからも、香川の欠場は所属するドルトムントでの過密日程によるコンディションを考慮したことも理由の1つだろう。
しかし、本田にはその心配はなかった。所属するミランで7試合先発落ち。ここ5試合は出場機会こそあるものの、与えられた時間は計35分。激減するプレータイムによって疲労はない。ある意味では“屈辱”とも思える先発起用だったはずだ。
実際、本人が「(自身のパフォーマンスは)全然良くなかった。内容は反省ばかり」というようにFW原口元気と交代するまでの83分間、プレースピードも十分ではなく決して優れたパフォーマンスを見せたわけではなかった。
それでも26分にはチーム2点目となるゴールを決めた。このゴールは、本田自身も「追加点を取ったことでチームとして落ち着けた」というように勝ち点3を確実にする重要な得点となったことも事実。さらにこの得点で2次予選4試合連続ゴールを達成した。
加えてチームはシリアをかわしてグループ首位浮上。3次予選進出へ大きな勝利となり、「アウェイで勝たなきゃいけない試合。勝ちは勝ちなんで、手応えとして評価したい」と一定の満足感を口にした。
自身はクラブでポジションを失いながら、日本に生まれサッカーを生業とする者全てが目指す日本代表では不動の定位置が与えられている現状にはプレッシャーもフラストレーションを抱えているはず。
とはいえ、出場選手を決めるのは監督の仕事。日本代表の起用法に関して賛否があろうと起用された以上、選手は全力でプレーしなければならない。その中で本田は最低限の結果とプライドを示した。
そして最後には、カンボジアとの次戦に向けて「勝って当たり前と思われているかもしれないけど、アウェイで簡単な試合はない。数日間、いい準備をしたいと思う」と気を引き締めた。
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