金崎夢生【写真:Getty Images】
【日本 3-0 シンガポール 2018年ロシアW杯アジア2次予選】
「嬉しいです。ありがとうございます」
試合後、金崎夢生は喜びを露わにした。20分に決めた先制弾は、自身の代表初ゴールだった。
5年9ヶ月ぶりの代表招集だったが、何年も日の丸を背負い続けていたかのように、自然とプレーした。フットサル仕込みのテクニックや機動力は若手時代と変わらないが、身体を張り、自らを犠牲にして味方を活かすプレーは海外の経験が大きいだろうか。
単独突破の鋭さに加えて、ポストプレーの力強さも武器となった。今季、期限付き移籍で鹿島アントラーズに加入。すぐに出場機会を得たが、チーム状態は良くなかった。
ACLから始まった2015年、アジアとの戦いで躓くとJ1でも勝てず。公式戦5連敗という最悪なスタートとなった。金崎も2列目で奮闘していたが、次第に最前線でプレーするようになると、その存在感は一気に際立つものとなった。
守備では出し惜しみすることなく前線からプレスをかける。裏への抜け出しは速く、空中戦で競り合うことも苦にしない。ここまでリーグ戦9得点を挙げているが、勝負どころでネットを揺らしてくれる。ヤマザキナビスコカップ決勝では、勝利を手繰り寄せる2点目を奪い、サポーターを狂喜乱舞させている。
こうした鹿島での活躍を考えれば、今回の選出は全く不思議ではない。ましてやサプライズでもない。金崎がハリルジャパンの一員となるのは必然であり、この日の先制点も優れた得点力を持つ彼であれば、驚くことではない。
岡崎慎司、武藤嘉紀が名を連ねる1トップ争いに、金崎が堂々と名乗りをあげた。
【了】