引いた相手から点を取るためには
シーズン前の7月のインターナショナルチャンピオンズカップ(ICC)の時から「チームのために戦っているという犠牲心だったりは監督の心にも届くかなと。僕が監督の立場だったら、そういう選手を使いたいと思う」と強調していたが、その姿勢をブレることなく貫き続け、彼は地獄の淵から這い上がった。
「僕はそれを信じて日々やっていました。でもまだ3試合しか出ていないので、次の試合でダメだったら試合に出られなくなるし、危機感を持ってやっていかないと。サイドバックも7人ぐらいいるので、勝負は続きます。
ただ、モチベーションは前から変わらないですよ。試合に出ていても出ていなくても。コンディション(負荷)は試合より練習のがきつかったから、追い込んでいたぐらいなので。全然問題ないです」と彼は何があっても動じない強靭なメンタリティを改めて見せつけてくれた。
それは今の日本代表に最も重要な部分。仮に今回のシンガポール戦でもなかなか点が取れずに時間が経過したとしても、動揺したら相手の思うつぼ。前回の二の舞にもなりかねない。それを避けるためにも、長友にはチーム全体の引き締めを図りつつ、サイド攻撃という大きな仕事を率先してやってもらう必要があるのだ。
「引いて来る相手に対する攻めは、僕らの課題になっているので、どう相手を崩していくのか、どういうサッカーをできるかが本当に大事になってくると思います。サイドでいかに勝負できるかは大切だけど、相手が6バックになる可能性もあるし、初めから高い位置を取るべきかどうかは駆け引きも必要。
こっちが低い位置でもらって相手を引き出して、空いたスペースを突いていくとかができればいいですけど、難しいですよね。そこでどう工夫するかを考えないといけない」と百戦錬磨の左サイドバックにとっても、この命題は頭を悩ませる部分に違いない。