「綺麗に決まった」。香川のヘディング弾で先制
なぜ、香川は跳んだのだろうか。香川自身、ヘディングでの得点は「なかなか記憶にない」と言う。もちろん、そこに理屈はない。クロスが来たから条件反射的に跳んだ。ただそれだけのことだ。
しかし、少なからずダービーの熱に浮かされたところはあっただろう。香川も「特別な雰囲気」と感じた、いつものブンデスリーガの試合とは違う、“レヴィアダービー”の空気に。
「綺麗に決まった」
しかし喜びも束の間、フンテラールが同点弾を叩き込む。33分。フンメルスの縦パスをゴレツカがカットする。右サイドに送る。サネが走る。折り返す。フンテラールが押し込む。1-1。ダービーは、簡単ではない。
それでもBVBは、43分にギンターがヘッドを叩き込み、47分にオーバメヤンが右足で流し込んで、シャルケを突き放しにかかる。3-1。
バイグルは「シャルケの2得点目まで、僕たちはとても良くプレーし、ゲームをコントロールした。高いポゼッションを実現して、常に局面に対処したんだ」と振り返る。
71分。カウンターからフンテラールが決めて、シャルケが追い縋る。3-2。
1点差に追い上げられてからのことを、香川は「本当にひとつのミスで、流れが変わる状況だったので、すごく、緊張感はありました」と振り返る。
ダービーの極限=緊張は、いつまでも続きそうだった。終わりの笛が鳴るまで、切れることはなかった。
ドルトムントは、3-2でシャルケを振り切る。熱に浮かされたジグナル・イドゥナ・パルク。喜びに沸いた。
香川の究極で口火を切った、168回目の“レヴィアダービー”だった。
【了】