極限の緊張状態でもチャンスを作り出すドルトムント
5分。シャルケのカウンター、アオゴが左サイドを抜け出す。サネに渡す。ソクラティスが前のめりになりながらもサネから奪う。さらに奪い返そうとするアオゴを、マイヤーを交わす。ゴレツカのタックルが入る。バイグルとマイヤーが、ボールを目掛けて足を投げ出す。序盤から球際の攻防は激しい。ムヒタリヤンは「タフでストレスの溜まる試合だった」と振り返る。
シャルケは4バックがBVBの3トップに、両SHが高い位置を取ろうとするシュメルツァーとギンターの両SBに対応した。ボールを回して、崩しにかかるドルトムントを待ち構える。一瞬の隙を突こうとした。19分。左からアオゴがクロスを入れる。サネが飛び込む。シュートはゴールの左に外れる。
最初の30分間を香川は「硬い試合」と表現した。
「相手も激しく来ていましたし、僕たちも最初の20分、30分は緊張感があって、ちょっと動きも硬かった」
ダービーの高揚が緊張状態を生み出した。そして緊張=極限の中でも、BVBが徐々にチャンスを作り出していく。
20分、ギュンドアンのラストパス。オーバメヤンに合わず。
27分、カストロのパスに香川が左サイドを抜け出す。ゴール前に折り返す。オーバメヤンがシュートを打つ。マティプにブロックされる。
ジグナル・イドゥナ・パルクの熱は、少しずつ煮えたぎり、今にも吹きこぼれそうだった。そんな時に、30分、香川は跳んだのだ。
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