本田の投入をためらった指揮官
当のミハイロビッチ監督は会見を早々と切り上げたため、ニアンを先発起用と交代を遅らせた理由については語らなかった。
ただ試合を見ていれば、その辺りを感じ取ることはできた。中盤が制圧される中、スタミナの続く限りニアンの推進力は攻撃の軸として機能していたし、スピードの不足する本田がその役目を置き換えるのも無理な注文だった。
現に彼は出場後、サイドの低い位置から攻撃を組み立てようとしたがうまくいかなかった。相手のプレスの前にバックパスで逃げる他はなくなったり、追い込まれた末に前線へのパスが不正確になったりするシーンもあった。
前方にスペースがあり、チームのビルドアップが機能している状態なら縦への突進を見せることもある彼だが、この試合のような状態だとゴールに近づくのも難しい。ミハイロビッチがサイドへの投入をギリギリまでためらったのもうなづける。
その一方で同監督は、「リスクを冒してでも点を取りに行きたかった」という理由で、中盤を一枚削り、ルイス・アドリアーノを比較的早い時間に投入している。
もし本田がトップ下として攻撃力をアピールできていたのなら、中盤のバランスにも手を貸しつつ点を狙うための手段として真っ先に投入されたことだろう。「よくやってくれているが、攻撃ではもっとやってもらいたかった」と指揮官は本田について試合の度にコメントしていたが、その積み重ねが結局今の立場につながっているのだ。
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