“吐き捨て”ではない指揮官の発言。その真意とは?
ただミハイロビッチ監督の発言だが、「出て行きたければ出るのは自由」という発言だけを抽出して情報として扱うのは良いことではない。彼は吐き捨てるだけで終わらず、本田の件に関してコメントを続けた。むしろ重要なのは、この部分に現れている。
「ただ、本田には試合に出てプレーするチャンスが与えられていたように思う。いずれにせよウチにはマラドーナやメッシのように、いついかなる時でも欠かせないという存在はいない。
つまり、努力をしてもらわなければ試合には出られないのだ。仲間の出場停止や故障でチャンスが巡ってくることもあるのだから、それまでは我慢すること。そしてチャンスを得たら、それを活かすことが大事だ。
もしそこで出場機会が遠ざかるのなら、俺に対してではなく自分自身に腹を立てて欲しい。ピッチの上でどうかがものを言うわけだから」
出て行きたいという人間に対し、まずは黙って努力しろと説いているわけだ。勝手にしろと済ませたければ、ここまで丁寧に言うだろうか。実際に意識したかどうかまではわからないが、先月4日に本田が爆弾発言をした件についての回答でもあるような気がした。
納得いかない状況を前に、周囲を強気な言葉で振り向かせ、また自らを奮い立たせるのも確かに一つの方法なのかもしれない。クラブに、ファンに、イタリアサッカー自体にフラストレーションを感じるなら、それを言い放つのも結構だろう。
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