現地で“幻想的”と表現されたミドルシュート
FCソウルを17年ぶり2回目の優勝に導き、日本人初の韓国FAカップMVPに選ばれた元サンフレッチェ広島で元日本代表の高萩洋次郎(日本人所属チームの優勝は2010年に高原直泰がプレーした水原以来)。3-3-2-2のトップ下に位置して90分プレーし、チームは初の決勝進出だったインチョン(仁川)ユナイテッドを3-1で下した。
FCソウルとしては去年の準優勝の雪辱を果たした形となった(17年前は前身の安養LG時代、FCソウルとしては初の戴冠)。MVPとして記者に迎えられた高萩は、試合後は現地テレビ局、韓国人記者、そして日本人記者の筆者と3つのインタビューに答えた。
10月31日、土曜日午後4時36分。ソウルワールドカップスタジアムの地下1階。優勝セレモニーを経て試合1時間後に高萩洋次郎はロッカールームからミックスゾーンに向かう扉を開いた。MVPの第一理由は試合の均衡を破った前半33分の先制ミドルだった。
高萩を30分近くも待っていた韓国最大のテレビ局KBSの女性リポーターがまずインタビュー。そして韓国人記者の囲み、筆者はその後に話を聞いた。
スタジアムが静寂と雄たけびと歓喜に沸いた衝撃の(現地KFAのサイトでは“幻想的”と表現された)ミドルシュートについて、高萩は3者の質問に「思いっきり打っただけ」と興奮を抑えきれないように繰り返した。
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