1つの基準としてあげるデュエルの部分
こうした傾向はハリルホジッチ監督が就任から約半年という段階で、早くも少数精鋭の体制に向いていることを示唆するものでもある。ハリルホジッチ監督は「今のところ私の中では35人の選手がいて、この人数は時間の経過とともに少なくなって行く」と説明している。相手が強くなる最終予選の時点では30人を想定しているというが、“ラージファミリー”と呼ぶには少ない人数だ。
現在も毎週の試合にスタッフと手分けして足を運び、引き続き多くの映像をチェックしている様だ。そこで気になった選手はかなりの数にのぼるはず。ただ、代表メンバーにすぐ割って入れる有力候補となると、かなり絞り込まざるをえないということだろう。
ハリルホジッチ監督が1つの基準としてあげるデュエルの部分はJリーグからかなり発揮している選手もいれば、宇佐美の様に代表で意識を強めて成長につなげる選手もいる。ただ、ポテンシャルがあってもテストのチャンスが無ければ、彼らが代表基準で成長する余地がどんどん狭くなってしまう。
“ザックジャパン”でもメンバー固定が問題視された。3次予選の時に清武弘嗣やハーフナー・マイクが台頭したが、最終予選ではほとんど新戦力が加わらなかった。当時のザッケローニ監督は最終予選のヨルダン戦までとその後を切り分け、まずは予選突破を決めそこから本大会に向けたテストなどをしていく方針を示していたが、敗戦を喫したことでそのまま主力を固定して親善試合と残りの予選を戦い、そのままコンフェデレーションズ杯に臨む流れになった。
印象的だったのはブラジルW杯を翌年に控えた8月の東アジアカップで青山敏弘(広島)の選出理由を語った時だ。ザッケローニ氏は「かなり気に入っている選手」と前置きした上で、3年前から高く評価はしていたものの招集のタイミングがなかなかなく、このタイミングになった事情を明かした。
東アジアカップでは森重真人(FC東京)、山口蛍(C大阪)、柿谷曜一朗(当時・C大阪、現・バーゼル)、大迫勇也(当時・鹿島、現・ケルン)、齋藤学(横浜F・マリノス)が台頭し、本大会のメンバー入りを果たしているが、彼らの多くは前年あたりから代表に選ばれてもおかしくないパフォーマンスを所属クラブで見せており、ザッケローニ氏も事前に追跡していたはず。
だが、最終予選が佳境になる中でリスクを冒せず、節目としていたヨルダン戦に敗れたことで、その後のテストも遅れてしまった。