ベンゼマはなぜ逮捕されたのか?
『カリム・ベンゼマ逮捕!』
この報道に驚いた人も多かったことだろう。現役フットボーラーの逮捕というだけでショッキングだが、その罪状がまだありがちともいえるスピード違反や小競り合いで誰かを殴った、というような類いではなく“恐喝”、しかもフランス代表のチームメイトであるマテュー・バルブエナを、彼のプライベート映像をネタにゆすった、というのだからなおさら仰天だ。
しかし、実際にベンゼマは11月4日、パリ郊外のベルサイユ市の警察に身柄を拘束された。白いパーカーのフードをすっぽりかぶって警察の建物に入っていくベンゼマの後ろ姿は、世界屈指のストライカーとは思えないほど貧弱だった。
彼の弁護士であるシルヴァン・コルミエ氏は、堂々とした様子でメディアの取材に応じ、「彼はまったくこの件とは無関係。それを証明するためならと召還にも積極的に応じ、聴取では、聞かれたことにはすべて答えて身の潔白を晴らす、と言っている」と話した。
この時点では、おそらくコルミエ弁護士の言うとおりになるのだろう、と思われた。
ところがその日に行なわれた警察での事情聴取では潔白を証明することができず、ベンゼマは収監されたまま警察で一夜を過ごし、翌日に裁判所へ出頭して、そこで判決を仰ぐことになったのである。
警察での聴取で疑いが晴れなかった大きな理由は、ベンゼマがこのバルブエナ脅迫事件に関わっている、ということ自体は揺るがぬ事実だったからだ。