武藤の最大の魅力は爽やかな風貌との“ギャップ”
また、過去の試合を振り返ると、武藤にとって「得点」と「デュエル」は密接な関係にあることがわかる。
ここまで6度ゴールネットを揺らしている武藤だが、ブンデス初得点を決めた第3節ハノーファー戦ではさらに1点を追加して2ゴールを決めている。そして、このハノーファー戦では「デュエル」を33回仕掛けた。この試合で30回を超えたのは武藤のみ。断トツでチームトップの数字となっている。
さらにディフェンス面でも右SBのレオン・バログン、セントラルMFのユリアン・バウムガルトリンガーの11回に次ぐ8回を記録。やはり攻守に積極的な姿勢でプレーしたからこそ複数得点を挙げる活躍に至ったということだ。
一方で、無得点に終わった第2節ボルシアMG戦の「デュエル」は26回、第4節シャルケ戦では18回。アウクスブルク戦前の過去5試合では平均21.4回だった。決して少ない数字ではないが、この「デュエル」はポゼッションやチャンスメイクとは違い、チームの勝敗や優劣と必ずしも比例するものではない。
例えば、現在ブンデスリーガ得点ランクで首位に位置するドルトムントのピエール・エメリク・オーバメヤンは1試合につき「デュエル」の数は10~20回程度の数字にとどまっている。
もちろん試合展開次第で増減するものではあるが、やはり武藤は積極果敢に相手選手へチャレンジしてこそ得点を決めることができる選手といえるだろう。そういった意味では、武藤はハリルホジッチ監督の求めるニーズに最も適合している選手ともいえる。
勝利数を見ると、10回前後とまだまだ勝率は高くないが、欧州でのチャレンジは始まったばかり。今後、ドイツの荒波に揉まれ続ければフィジカルも技術も大きな成長が期待できる。
爽やかな風貌に喋れば物腰柔らかな好青年の武藤だが、そのプレーぶりはドイツでもトップクラスのファイターである。このギャップこそが武藤嘉紀という選手の最大の魅力なのだろう。
データ提供:Wyscout
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