Aリーグ史上最年少監督も誕生。疑問の念も上々の滑り出し
もうひとつの予想外の好発進を見せたクラブは、ニューカッスル・ジェッツ。今年5月、前オーナーがクラブライセンスを剥奪され、FFAがクラブの経営を掌握。今季は、暫定的に“FFA直営”で臨む。そのFFAが、新生ジェッツの監督に抜擢したのは弱冠34歳(就任時は33歳)のスコット・ミラー。余程のマニアでないと知らない意外な人選となった彼の就任をニューカッスルの地元紙『ヘラルド』は「Mystery man」の見出しを掲げて伝えた。
07年以来、イングランドのフルハムに所属していたミラーは、就任直前はトップチームのアシスタントコーチの任にあった。13年には、サッカルーズのコンディショニング・コーチの急な解任の際、ごく短期ながらアンジ・ポスタコグルー率いるサッカルーズのスタッフとし働いた経験もある。
おそらくは、ここでFFAの首脳のお眼鏡に適ったことが今回のオファーの遠因であろう。Aリーグ史上最年少監督となったミラーの手腕はまったくの未知数だったが、昨季と陣容が大幅に入れ替わった新生ジェッツが首位に勝ち点差1の3位に付ける上々の滑り出しは、疑心暗鬼だったサポーターを納得させるには充分過ぎる出来だろう。
そのジェッツで出色の働きを見せるのが、かつてサッカルーズの主力として活躍したデービッド・カーニー。Aリーグ黎明期にスターダムに駆け上がり、そのまま海外へ飛び立った彼は既にベテランというイメージがあるが、実はまだ31歳。老け込む歳ではない。
欧州移籍後の彼のキャリアは、決して順風満帆とは言えない。左右サイドバック、中盤のほとんどに加えてウィングまでこなせるポリヴァレントな才能がうまく発揮される機会になかなか恵まれず、クラブを転々としたこともあって、彼には常に“器用貧乏”なイメージが付きまとう。