豪州Aリーグも11年目を迎える
11年目を迎えたAリーグ。今季の選手の顔ぶれを見渡すと、多くの元代表選手や日本や欧州でかつてプレーした懐かしい名前に出会う。同時に、Aリーグが始まった頃には小学生だったような若手が次々に台頭して見る側の目を楽しませている。そういった選手の移り変わりを見るにつけ、11年という時間の流れを感じさせられる。
開幕から1ヶ月が過ぎ、11月2日現在で第4節まで消化したAリーグ。ここまでの推移で何よりも目を惹くのは、オフにピッチ外の騒動でメディアを賑わせた(その詳細は、拙稿を参照のこと)ブリスベン・ロアとニューカッスル・ジェッツが予想以上の好スタートを切ったことだ。
まずは、かつてチャンピオンクラブとして一世を風靡したブリスベン・ロア。オーナーのインドネシア財閥の経営不振の煽りを受けて、クラブ存続の危機さえ囁かれたロア。豪州サッカー連盟(FFA)とオーナー側のギリギリの折衝が断続的に行われて、最悪のシナリオは回避された。オーナー側がクラブ経営への継続的かつ安定的なコミットメントを確約することで、何とか開幕に漕ぎ着けることができた。
存続の危機に揺れたクラブでは、当然ながら選手間にも動揺が走った。実際、主力だった豪州代表MFルーク・ブラッタンは、クラブの給与一部未払いを理由に退団。
そのブラッタンは本人も驚くマンチェスター・シティとの契約(筆者注:契約後、すぐにイングランド2部・チャンピオンシップのボルトンへレンタル)を勝ち得たが、これはむしろ稀なケース。ほとんどの選手は、クラブの存続の可否次第では路頭に迷いかねない状況にあった。
そんな騒動の渦中でも「現場はやれることをやるだけ」とチームを正しい方向に導くことに注力、選手を完全掌握したのがジョン・アロイジ新監督。少ないながらも的確な補強で戦力ダウンを最小限に留め、その新戦力が期待以上の活躍を見せることで、開幕から4戦3勝1敗としっかり勝ち点を積み上げて首位に勝ち点差1の2位に付ける。