指揮官は名指しで評価も…控えという現実
たかだか15分少々では、アピールをするにも時間として十分ではあるまい。だがこの短いプレーでミスを連発した中から、何が評価出来るのだろうか。強いて言えば、必死だったことか。確かにバックパスに逃げずチャレンジには行っていたし、いつもよりもパスの要求も派手。それを続けたからこそパスも回ってきたし、FKは自分で倒されて取ったものだ。
ミランは本田のサイドから盛り返し、試合を攻撃で終えている。本田がここでがめつくサイドを押し込まなかったら、流れをラツィオに渡した恐れもある。先発としてゴールやアシストを期待される立場の選手と比較すればタスクはあまりにも些細で地味だが、サボってはならないことだった。
だからシニシャ・ミハイロビッチ監督も会見で褒めるのだ。「今日はチームが一丸となって戦えた。フィリップ(・メクセス)もアンドレア(・ポーリ)も、そしてケイスケも、途中出場の選手たちも貢献してくれた」と、わざわざ名前を出して貢献を称えたのである。
もちろんこれは、控えに甘んじる厳しい現実を示しているということでもある。ポジションを争う人間はスタメンを任され、責任を持って期待に応えている。右のアレッシオ・チェルチはシュート性のクロスから先制点をおぜん立てし、スペースに出て放ったシュートをバーに当ててもいた。
左のジャコモ・ボナベントゥーラも2アシスト。そして両者ともに、守備は懸命にやる。前節まではお世辞にも動いているとは言えなかったチェルチも、本田との交代直前には走れなくなるまでに消耗していた。
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