さらに強まる本田への逆風
フィリッポ・インザーギ前監督の下では、本田もカウンター戦術にははまっていた。それは自分でボールを運ぶというより、スペースへのボールの引き出し方の巧みさによって引き出されたものだ。昨シーズン開幕戦のゴールが示している通り、最終ラインの高いラツィオとは相性が良かった。まずは出場機会が与えられなければどうしようもないが、攻守の切り替えのうまさをアピールする機会としたい。
なおシルビオ・ベルルスコーニ名誉会長は、「将来的には4-4-2に」とミハイロビッチ監督が言った矢先に、「どうなるかは見てみよう。ただ故障者が復帰し、彼らで4-3-1-2をやれば強力になる」などとトップ下を使ったシステムへの回帰を促している。
しかしその場合も、「トップにマリオ・バロテッリが、そしてトップ下にジェレミー・メネズが復帰すれば」という話だ。このままミハイロビッチ流のサッカーを続けるにしても、また会長のリクエスト通りにシステムを変えるにしても、どのみち本田の前にはライバルが立ち塞がる。
この状況で、ナポリ戦の後であれだけ毒づいた本田のモチベーションがどうかは分からない。もっともインテルではその本田より出場機会を失っていた長友は、必死に練習をこなした結果ロベルト・マンチーニ監督の信頼を再び勝ち得て、首位攻防のローマ戦でジェルビーニョやモハメド・サラーらを抑える大役を任された。
逆境でこそ問われるのはプロ意識の高さ。本田もまた、そこにおいては期待を裏切らないであろうことを信じている。
【了】