輝くことができなかった宇佐美貴史【写真:Getty Images】
【10月31日 鹿島アントラーズ 3-0 ガンバ大阪 ヤマザキナビスコカップ決勝】
長谷川健太監督だけでなくガンバの選手たちの多くが「完敗」と素直に負けを認めた。それだけ鹿島にとって完璧と言える試合だった。
コンディション面の差はあったが、これほどまで差がついてしまった要因はどこにあるのか。その1つがエース、宇佐美貴史を消されたことだ。前後半で三度のシュートチャンスがあったが、どれもゴールの匂いはせず、それ以外の時間帯では存在感が薄かった。本人も何もさせてもらえなかったことを認め「負けたという感じ」と語った。
また「打開しようにも前でおさまらず…」とも語っている。実際、ポストプレー役のパトリックはことごとく潰された。本人も分かっているのかイライラがつのった終盤には警告も受けた。
遠藤保仁は「前でキープできればタメができて押し上げやすいですけど、一概に前だけの問題ではない。チーム全体として押し込まれすぎたのが敗因の1つ」と分析する。さらに「自分たちがいなせなかっただけ。決してめちゃめちゃ速いとは思わなかったが、あれだけ押し込まれたらパスコースも少ない」とも。
淡々と語る遠藤だったが、Jの舞台であれだけ封じられるのも珍しい。実際に鹿島は遠藤がボールを持つと激しくチャージし、動きを止めていた。常にフリーでボールを受ける小笠原満男・柴崎岳の鹿島のダブルボランチとは対照的だった。
攻撃を展開する遠藤、起点となるパトリックと2人の核を抑えられ、宇佐美も孤立。鹿島の気迫が目立ったが、当然それだけではなかったということだ。常勝軍団はガンバの強力攻撃陣を封じる術中をしっかりとはめてきた。
「負けるべくして負けた」。遠藤の言葉がすべてを物語る。
【了】