前半から圧倒もゴールは奪えず。しかし、焦りはない
鹿島の、目の前の相手を倒すという意識は試合開始と同時に色濃く表現されていた。自分たちのキックオフで前半をスタートさせると、瞬く間に主導権を握った。1分の金崎夢生を皮切りに10数分間で5本のシュートを放った。特に遠藤康がフリーで放ったフィニッシュはビッグチャンスだった。
猛攻を仕掛ける鹿島だったが、肝心のゴールが決まらない。前半途中には“攻め疲れ”のような時間帯もあり、攻守の切り替えが遅れて中盤で相手にボールを持たせてしまうシーンもあった。しかし、すぐに修正すると再び相手を飲み込み、前半は結局10本のシュートを浴びせた。G大阪は2本とほぼノーチャンスだった。
とはいえ、試合を決めるチャンスがありながらスコアは動かせず。G大阪に息を吹き返す時間を与えてしまったようにも思えた。だが、選手の心境は全く違うものだった。
「セカンドボールをほぼ満男さんとか(柴崎)岳が拾ってくれたので、前半からウチらしいサッカーができていた」
最終ラインを統率し、パトリックとのマッチアップに一歩も引かなかった昌子源は、前半をこう振り返る。リードを奪うチャンスは逃したものの、チームとしてやるべきことはできていた。攻守でアグレッシブに戦う姿勢を見せたことは、猛攻を仕掛けながら無得点に終わったことへの不安ではなく、後半に向け確かな手応えを選手たちに与えていたのだ。
小笠原も「本当だったら立ち上がりのいい時間帯で先制点が欲しかった。でもそこで集中を切らさずに後ろも耐えてくれたし、攻め続けられた」と、チームに流れるポジティブな雰囲気を感じ取っていた。
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