「組織的にプレーするのではなく、個の力を最大限に伸ばす」
――本当に熱いですね。
「誤解してほしくないのは、ミルトンは他人に責任転嫁するような人間ではありません。経歴に乏しいことは重々承知で、世界中の関係者にアピールするため、今から3年前にミルトン・メンデス公式サイトをポルトガル語と英語、アラビア語で立ち上げました。
ハイクオリティーの出来で業者に頼みそれなりの費用はかかったのですが、『1億円、いや2億円のオファーが届くための自己投資』と涼しい顔で語るミルトンの目は、まさしくプロフェッショナルでした」
――指導者としてのミルトンはいかがですか?
「モチベ―ターですね。組織的にプレーするのではなく、個の力を最大限に伸ばし、試合で戦わせます。カタールSCではトップチームのコーチを務める傍ら、サテライトの監督を務めていました。カタールの選手は、オイルマネーにより本当に富裕層であり、ブラジルやアフリカと異なり、サッカーは生活の手段であり、ともすれば娯楽、暇つぶしです。
アラビア語を短期間で習得し、監督として扱いにくい選手たちにジョークで笑わせ、兄貴分として信頼を勝ち取っていました。チームの雰囲気は非常に良かったです。08-09年カタールリーグの最優秀監督に、リーグ優勝を逃したにもかかわらず、ラザロニが選出されました。ミルトンが裏方として支えたからといっても過言ではないでしょう」