ここまでわずか4勝も…J1で粘り強さを見せた山形
J2降格が決まった時点のモンテディオの成績は、4勝12分け16敗の17位。特にセカンドステージは1勝にとどまっているなかで、リーグ最多タイの12を数えた引き分けをどのようにとらえるべきか。
6度のスコアレスドローはある意味で粘り強さの証であり、4月29日のエスパルス戦では残り5分から3点差を追いつく奇跡も演じている。追いつかれた末に引き分けたのは4度。そのうち3度は残り10分を切ってから失点を喫した。つまり、粘り強さのレベルを上げれば逃げ切れていたかもしれないわけだ。
現時点でリーグワースト2位の23得点に甘んじている攻撃陣にも、カウンターの精度アップを含めて改善の余地を見つけられたはずだ。こうした目標を掲げた上でJ2の戦いに再挑戦できるのも、J1のレベルを4シーズンぶりに肌で感じることができたからに他ならない。
J1で最下位に終わった大分トリニータとヴォルティスに続いて、J1昇格プレーオフを制したクラブが1年でJ2に逆戻りする。トリニータとモンテディオはJ2の6位からの下剋上だったが、今シーズンの結果を受けてプレーオフ制度への是非が湧き上がるとすれば、それは単なる結果論にすぎないだろう。
そもそもリーグ戦の上位クラブには、引き分けで勝ち抜けるアドバンテージが与えられている。何よりもモンテディオをはじめとするプロヴィンチアのクラブがアイデンティティーを見つけられるきっかけを得られたとすれば、J1切符を得られるチャンスが広がる昇格プレーオフ制度は、長い目で見ればJリーグ及び日本サッカー界全体の未来に寄与するのではないだろうか。
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