就任初年度のキーワードは「我慢」
石崎監督は「我慢」をキーワードに掲げながら、シーズン終盤に照準を定めていた。
「終盤戦になるほどフィジテクの効果が出てくる。ウチの選手たちをJ1の舞台に出せば技術と戦術の部分で劣るかもしれないけど、戦う部分に関してはどのチームよりも強くなった」
終盤戦の猛烈な追い上げで6位に食い込んだリーグ戦。GK山岸範宏の劇的なゴールでジュビロ磐田を下し、ハードワークでジェフ千葉を零封して頂点に立ったJ1昇格プレーオフ。そして、三冠を独占したガンバ大阪相手に、一時は1点差にまで肉迫した天皇杯決勝。11月以降に刻まれたモンテディオの軌跡は決して奇跡ではなかった。
一連の戦いの過程でモンテディオが目指すべき独自のスタイルが見えてきたと、石井テクニカルダイレクターが振り返ったことがある。
「厳しい自然環境のなかで助け合わなければいけないし、ときには耐え忍ばなければいけない。そうしたスピリットをサッカーで表現できるようになったら、もっと多くのファンの方々に共感してもらえると思うんです。華麗な攻撃サッカーではないかもしれないし、スターと呼ばれる選手もいないかもしれない。
それでも、どんな状況でも走り抜いて、シュートをストップするために食らいつき、最後まであきらめることなく戦い抜く。山形県をはじめとする東北人のメンタリティーを反映させたスタイルで、大都会のビッグクラブに立ち向かっていく図式が鮮明になってくれば最高ですね」