「冷静にゴールが出来た」。試合を終わらせた香川の3点目
カストロのように「ようやくドルトムントに辿り着いた」という感覚は、ラモスも同じかもしれない。加入直後の昨季は、クロップ体制でワントップとして機能することはなかった。しかし、パーダーボルンとの一戦では、ロングボールを収め、縦パスを収め、CFとして機能し続けた。動き出しとポジショニングの質で勝負するオーバメヤンとは、違った良さをラモスは示した。
30分。ブリュックナーのクリアボールが、ムヒタリヤンに当たって高く上がる。落下点=DFを背負ってラモスがゴール前にボールを送る。カストロが抜け出す。右足で逆転弾を叩き込んだ。2-1。
さらに43分には、香川真司とカストロ。ラモスが左サイドの香川にパスを送る。カストロとのワンツーで、香川はパーダーボルンの守備陣をくぐり抜けると、左足でボールをふわりとゴールに入れた。3-1。
「いい緩急と、相手のディフェンスが見えたので、前に行けましたし、しっかりとリズムと相手を見極めて、冷静にゴールが出来たんじゃないかなと思います」
エッフェンベルクはベンチに座り込んで苦虫を噛み潰した。先制ゴールを挙げたラキッチは「前半を終えて僕らは筋道を失ったよ」と言う。香川は「前半で勝負はあったと思います」と振り返った。既に前半で、勝負は決していた。
後半にカストロの1Gを含めて、さらに4ゴールを挙げたドルトムントは、7-1でパーダーボルンを下す。DFBポカールの3回戦に進出する。香川は「大事なのは結果なので、しっかり勝ち切って良かったです」と、監督トゥヘルは「先に進めることが喜ばしい」と語る。
「ようやくドルトムントに辿り着いた」と言うように、カストロとラモスは、戦力として十分に計算が立つようになったと言えるだろう。
BVBの戦力に厚みが増した、パーダーボルン戦だった。
【了】