積雪地域からの反対も一転…ACLもシーズン移行へ
アルビレックス新潟やモンテディオ山形に代表される、積雪地域をホームタウンとするJクラブが断固拒否してきた経緯もあって、シーズン移行に関する議論は遅々として進まなかった。
それが一転して40を数えるJクラブの全会一致で合意に至った背景には、アジアサッカー連盟(AFC)がACLを現状の「2月開幕・11月決勝」から、UEFAチャンピオンズリーグに倣った「9月開幕・翌年5月決勝」に変更するプランを進めていることが判明したからだ。実際にACLのシーズンが移行されると、ホーム&アウェー形式で行われるグループリーグが9月以降の年内に行われることになる。
「そうなると、J1終盤戦の優勝争いのストーリーがまったく成り立たなくなってしまう」
2ステージ制の導入を含めた改革の中心を担ってきたJリーグの中西大介・競技事業統括本部長(現常務理事)は、Jリーグのカレンダーそのものが破綻すると警鐘を鳴らし、シーズンを移行するメリットを実行委員会で説明した上で合意を得るに至った。
バーレーンの王族であるサルマン・アル・ハリファ会長以下の要職を中東勢が独占し、実質的な「伏魔殿」と化しているAFCからは、ACLの件を含めて日本へほとんど情報が伝わってこない。その上で中西統括本部長はこう語ってもいた。
「11月の上旬にはナビスコカップの決勝戦も行われる。破綻したカレンダーのもとでは、シーズンを送ることができなくなる。本当にお手上げになってしまう。ACLが変更された時点で速やかにJリーグもシーズンを移行できるように、準備だけは整えておかないといけない」
しかしながら、現状ではACLのシーズン移行に関係なく、J1終盤戦の盛り上がりに冷や水が浴びせられている。ならば、AFCの動向に関係なく、日本サッカー界独自の判断でシーズンを移行するための議論を急がせてもいいのではないだろうか。
天皇杯の開催時期やACL出場クラブの選定方法、そしてウインターブレークを設けるか否か。何よりもJクラブだけでなく自治体、Jリーグ、日本サッカー協会が一体となって積雪地域のスタジアムや練習施設に屋根やヒートシステムを設置するための方策など、話し合うべき課題は枚挙にいとまがない。