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イブラに集まる批判の声。CLレアル戦で不発も…“暗黙の掟”で主砲に固執するPSG

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

ブラン監督が黙認する『イブラは絶対にスタメン起用』

イブラに集まる批判の声。CLレアル戦で不発も…“暗黙の掟”で主砲に固執するPSG
PSGのローラン・ブラン監督【写真:Getty Images】

 まずはスピードの欠如。ハイテンポなパス回しの中、彼の元にボールがきたとたんペースがガクッと下がり、周りの選手たちとタイミングがずれる。特に、右SBのファン・デル・ヴィールやマテュイディ、ルーカス、カバーニらが織りなすハイスピードのビルドアップにイブラが絡むと勢いが止まる。

 空いたスペースに飛び込むタイミングも、ワンテンポ後れがち。相手にタイトに当たられてボールを失う、という姿も頻繁に見られるようになった。

 とはいえ、イブラも10月3日で34才。20代のチームメイトたちとフィジカル面で同じパフォーマンスを求めるのは酷というもので、むしろ決定力には依然として秀でたこの巨砲を生かすべく使い方を変える、相手や戦術によっては先発メンバーから外す、といった英断を伴う工夫をするべきだ。

 しかしローラン・ブラン監督にとって、その2つともが実現極めて不可能な難題であるから問題だ。

 例えばカバーニ、そして今夏加入のディ・マリアと形成する最強(なはずの)3トップでは、イブラは常に中央に陣取るが、彼は純然なセンターフォワード型の選手ではない。

 背番号が示すとおりのプレーメイカー、『10番』的な選手であると信じる本人は攻撃エリアを広範囲に動く。実際それでシュートの起点となることも少なくないが、周囲の選手たちが彼の動きを殺さず連動しようとするあまり、もっとも有効な攻撃アクションを繰り出せない場面がたびたび見られるのも事実。

 それでも、カバーニを真ん中にする、あるいは2人を2トップ気味に使う、といった変革案で試合をスタートさせることはない。

 また、イブラについては、『出場可能な試合に関しては絶対にスタメン起用』という暗黙の掟があるがごとく、ブラン監督は彼をベンチに座らせない。ここまでの3シーズンと3ヶ月で、イブラが途中出場したのは4回だけ。それらは戦術上の理由というより、負傷あけで慣らし運転するための処置だった。

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