「シンジはマンチェスターで人気がある」
この日はBBCのクルーがマンチェスターからやって来ていた。目的はオーバメヤンのインタビューだ。アウクスブルク戦に先発した3人による奇妙なジョギングは、BBCの撮影用だったのかもしれない。しばらくトゥヘルと話し込むと、オーバメヤンも練習場を後にした。
余談だが、BBCのクルーによれば「シンジはマンチェスターで人気がある」とのことだ。ユナイテッド時代の香川については「ベストを示せなかった。使われたポジションが悪かったね」とのことである。
そして次に(3)「6対3のロンド」が行われる。まず青ビブス3人、赤ビブス3人、ビブスなし3人に分ける。4隅のポールに囲まれたおよそ10m四方のグリッドの中で、ボール回しが行われる。
基本的にはワンタッチ、時にツータッチであるのは、(2)と同じである。(2)のロンドと違うのは、守備3人に交じって中央に1人のフリーマンが入ることだ。相手のプレッシャーの中でのポジショニングとパス交換は、より実戦を想定したものである。トゥヘルが持ち込んだポゼッション・フットボールの基礎を育むためのトレーニングとも言えるのではないだろうか。
【次ページ】選手にそっと付き添う指揮官の包容力