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本田圭佑 9年前

窮地に立たされた本田。ミラン、トップ下消滅でライバルが優位に。逆転のチャンスは?

ミランは現地時間25日、セリエA第9節でサッスオーロと対戦し、ホームで2-1の勝利を収めた。4-3-3のシステム変更を行ったミランは、この試合で本田圭佑ではなくアレッシオ・チェルチが先発で出場した。そのチェルチは先制点につながるPKを誘発するなど活躍を見せている。これまでトップ下としてプレーしてきた本田は今後ウイングとしてポジション争いをすることになるが、果たして逆転のチャンスはあるのだろうか。

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

先発は本田ではなくライバルのもとへ。逆転のチャンスはあるのか

窮地に立たされた本田。ミラン、トップ下消滅でライバルが優位に。逆転のチャンスは?
アレッシオ・チェルチ(左)と本田圭佑(右)【写真:Getty Images】

 蓋を開ければ、サッスオーロ戦先発の右ウイングは本田圭佑ではなくアレッシオ・チェルチだった。「私は前日の練習を視察していた。(ポジション争いで)チェルチは本田に対して優位に立っていた。今日は良いプレーだった」。試合後、ミランのアドリアーノ・ガッリアーニ副会長は前日練習の様子を証言した。

 そしてそのチェルチは、正確なスルーパスを放ってPKにつながるファウルを誘い、縦へのドリブル突破で決勝点につながるCKも取った。

 シニシャ・ミハイロビッチ監督は語る。「4-3-3へシステムを変更するにあたり、右ウイングはチェルチにとって本来のポジションだったのでトリノ戦から彼を使った。相手を自力で抜けるし、スピードもある。今日のようなプレーを今後も続ければ、ポジションを得ることになるだろう」。戦術上の理由で起用した選手が良いパフォーマンスをすれば、今後も外す理由はなくなるということだ。

 この流れを聞いて、2ヶ月前のことを思い出した。トロフェオTIMの後、4-3-1-2を試していたミハイロビッチ監督はプレシーズンで、本田についてこんなことを話していたのである。

「戦術上のタスクをよくこなしてくれた。これだけのインテンシティでプレーしてくれれば、本田はすべての試合でプレーしてもらうことになる」

 トップ下を使ったシステムで固めたかったミハイロビッチ監督は、その後どんなに批判があろうとしばらくは4-3-1-2を続けた。

 その逆のことが起きる可能性もある。戦術上のキーマンがそれなりに活躍し、全体のバランスが4-3-3で整うと希望を持てば、指揮官は形を変えない。サッスオーロ戦では同点に追いつかれた後でシステム変更をしたが、それもウイングをワイドに張らせた4-4-2だ。今後同監督のもとでは、チームがトップ下を使ったシステムに回帰する可能性はほぼないだろう。

 これで本田にとっては、左右のウイングとして勝負するほかはなくなった。もっともチェルチが全く守備をしなかったので、退場者が出て10人となったサッスオーロに中盤を制圧されるなど、決して現状がベストというわけではない。

 ハードワークのできる本田にとっては、アピールする余地も若干残されてはいる。攻撃面では縦へのスピードがないなりに、ゴール前への飛び出しでパスを引き出すような動きを心がける他はないだろう。

【了】

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