ジュニア世代から得意なものを指導者が一緒に探してあげる!
2011年2月に東京経済大学のサッカー部の監督を務める富岡義志雄教授が『得点力アップのためのヒント』という論文を発表した。「なぜ、この論文を作成したのか」を問うと、次のように答えてくれた。
「シュートチャンスがあるのに、日本人選手は打ちません。ボールを蹴ってもふかしてしまうことが多い。そこには理由があり、何を改善すればいいのかとさまざまな書物に目を通しました。今後、ゴールを決めるためのスキルアップのヒントになればいいなと、研究ノートとしてまとめました」
さらに興味深い見解も語ってくれた。
「プレーはすべて100%でやればいいわけではありません。人間が力を最も発揮できるのは70~80%の力でプレーしたとき。そのときに力を出し切る確実性が増すのです。つまり、シュートも100%で蹴ろうとすると失敗する可能性が発生します」
よく肩の力を抜いてプレーすると、うまくいくと耳にする。何事もそうかもしれないが、気合が入りすぎても、逆に緊張しすぎても普段通りのプレーができない。教授はこうアドバイスをしてくれた。
「シュートで言えば、得意なコースやシュートパターンを作っておくことも大事です。その理由は自信と余裕にあります。たとえば、最近引退したデル・ピエロ選手が得意とした左斜め45度エリア、通称デルピエロゾーンもそうです。このエリアでシュートを打ったら絶対に入るという自信が余裕を生み、ゴールにつながる。すると経験が上積みされるから、より自信が深まります」
ゴールを決める感覚を養うには、ジュニア世代から得意なコースやシュートパターンを身につけるのも1つの手段である。それがあればチームもそれにハマるようにプレーでき、攻撃の指針になる。すると、必然的に得点力アップにも関係してくる。