W杯最終予選は絶望的なベトナム代表に高まる帰化選手待望論
2018年ロシアW杯アジア2次予選(兼AFCアジアカップ2019予選)で、三浦俊也監督率いるベトナム代表が苦戦を強いられている。10月13日にホームで行われた宿敵タイとの試合は0-3で完敗。第4節を終えた時点で、1勝2敗1分のF組3位となっており、最終予選進出はすでに絶望的な状態だ。
2次予選突破の行方を占う大一番であるホーム2連戦(イラク戦10/8、タイ戦10/13)の前、ベトナムのサッカーファンの間では、「代表強化のため、帰化選手を呼ぶべき」という声が高まっていた。特に、2013と2014シーズンで得点王に輝いたナイジェリア出身のFWホアン・ブー・サムソン(旧名サムソン・カヨデ)の評価は高く、国内では“サムソン待望論”が叫ばれた。
日本の読者には意外かもしれないが、ベトナムをはじめとした東南アジアには、帰化選手が非常に多い。ベトナムの場合、2007年12月25日にブラジル出身のGKファン・バン・サントス(旧名ファビオ・ドス・サントス)が帰化選手第一号となったのを皮切りに、現在までに20人余りの帰化選手が誕生している。その多くは、アフリカやブラジル出身の者だ。
ここで少し、帰化選手第一号であるファン・バン・サントスについて紹介しておこう。ブラジルの名門ヴァスコ・ダ・ガマの下部組織で育ち、1997年にトップチーム昇格。その後、リオデジャネイロ州リーグのカンポ・グランデなどを経て、2001年にVリーグのドンタム・ロンアンへ移籍した。
身長2mの超大型GKで、その圧倒的な存在感で守護神として君臨。外国人枠の問題から2007年に帰化し、翌年には、ポルトガル人のエンリケ・カリスト監督体制のベトナム代表に招集され、帰化選手として初の代表デビューを飾っている。
しかし、サントスは、コミュニケーションなどの問題から代表チームに馴染めず孤立。さらに、親善試合では、当時出産が近づいていた妻のことを気にするあまり、プレーに精彩を欠くという体たらく。同じく、ブラジル出身の帰化選手で、Vリーグの得点王と最優秀外国人選手にも選ばれたことがあるFWフイン・ケスレー・アルベスも代表では機能しなかった。