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Jリーグ 9年前

FC東京の主力CBに定着、さらには日の丸も。丸山祐市、プロとしての礎を築いた湘南での1年間

text by 青木務 photo by Getty Images

FC東京でレギュラーに定着

 湘南で心身ともに成長し、FC東京に戻ってからもあの時間を無駄にしなかったからこそ、現在J1優勝を争うチームのレギュラーとして定着している。だからこそ、一皮むけた姿をチョウ監督や元チームメイト、そして湘南サポーターに示したかった。

「東京に帰る決断を許してくれた湘南の人たちにも『丸山が東京に戻って成長してるな』と思ってもらえるようなプレーをしたい」

 湘南戦の前日、丸山はこんなことを話していた。もちろん、FC東京の勝利のために全力を尽くすのは言うまでもないが、“湘南で日々があったから今がある”という姿を見せたかった。

 強い想いを持って試合の日を迎えた。選手紹介の時に丸山の名前が呼ばれると、アウェイ側のゴール裏からも大きな拍手が起こった。丸山がこの試合を楽しみにしていたように、湘南サポーターも丸山のプレーを見られることが嬉しかったのではないか。

 FC東京の勝利に貢献することで自身の成長を示したかったが、結果は1-2の敗戦となった。湘南は右サイドに藤田征也と古林将太を同時起用し、徹底してFC東京の左を狙ってきた。そして湘南の2点目はそこから生まれる。55分、藤田征也が高速クロスを送ると、菊池大介がネットに突き刺した。外につり出された丸山は、藤田のクロスを止めようと懸命にスライディングに行ったが、わずかに届かなかった。

 この試合、湘南が先制点を奪ったことでFC東京は前がかりにならざるを得なくなった。互いにゴールを目指したことで、ボルテージはどんどん上昇していった。丸山も熱い気持ちを前面に出しながら、冷静に自身の仕事を遂行していった。

 35分、FC東京はヒヤリとする場面を迎えている。湘南の縦パスがキリノへ送られた時、対応に向かった森重が芝に足を取られ転倒してしまう。そのままキリノがゴールへ突進するところで、青赤のユニフォームが一気に距離を詰める。丸山だった。身体を投げ出してシュートをブロックし、ピンチを防いだ。

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