湘南でのキツイ練習にも耐えた
90分間足を止めず、攻守に渡ってアグレッシブに走り続ける。足がつってもすぐに立ち上がり、何事もなかったかのようにボールを追いかける。疲労困憊の時間でも、もう一歩が出る。それが湘南ベルマーレというチームだ。
そうしたスタイルのチームの練習が、楽なはずはない。丸山祐市は昨シーズン、相模川の河川敷にある馬入グラウンドで、死に物狂いで走っていた。
「みんなハァハァ言いながらやってましたよ」。そう言って苦笑する丸山だが、ただキツイだけではない。サッカーはボールを扱うスポーツという原則からかけ離れたトレーニングはなかった。
「サッカーの楽しさというか、ボールを蹴ることが一番楽しいじゃないですか。素走りみたいなのはシーズン入ってからちょっとだけありましたけど、ボールを蹴りながらサッカー体力みたいなものをつけていったので、キツイけど自分たちのためにやってくれているという思いがありました」
チョウ・キジェ監督に率いられた湘南は2014年、破竹の勢いと安定感、相手をねじ伏せる破壊力を見せつけた。開幕14連勝や最終勝ち点101獲得など、J2を一気に駆け抜けた。勝って勝って勝ちまくる。次の試合が楽しみで仕方がない。プロとしてこれ以上ない好循環は、日々の厳しい練習が原点にある。
「ずっと結果がついてきていたので、信じてやり続けることができた。練習でやっているから試合でもできるという証明にもなっていたと思うので、練習がキツイのはもちろんですけど、そこは信じてやり続けた1年間だった」
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