血肉となったシーズン前のハードワーク
静かに闘志を昂ぶらせていた前田だったが、結果は0対2の返り討ち。先発した前田もゴールに絡む仕事ができないまま、後半23分にピッチを後にした。
15位の神戸との勝ち点差は5。次節にもJ2降格が決まる厳しい状況に置かれたが、残り3試合のなかにはその神戸、14位の鳥栖との直接対決が含まれている。希望の灯はまだ消えていない。
22日に4回戦の組み合わせ抽選が行われる天皇杯では、ベスト8以降の未踏の領域へ踏み込める可能性もある。そして、来年1月には下馬評で日本の苦戦が予想される、リオデジャネイロ五輪出場をかけたAFC・U‐23選手権がカタールで開催される。
松本の地で課されてきた、ときには“理不尽”にも感じたハードメニューは、約10ヶ月という歳月を経たいま、対戦相手にとって危険極まりない左足をもつホープの血肉となっている。
太陽エネルギーが尽き果て、地上から姿を消すピンチを知らせるカラータイマーはもう鳴り響かない。反町監督への感謝の思いを込めながら「自信になっている」と振り返る前田が、本当の意味で「ウルトラマン」となる可能性を秘めた戦いはこれから幕を開ける。
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