問題発言の影響はなし。しかし、残された道は…
クラブへの問題提起が話題となった本田はというと、88分にチェルチに替わって途中出場を果たしている。アディショナルタイムも含めてわずか6分間のプレーとなったが、懲罰を受けたわけではない。ミハイロビッチ監督は85分まで交代を行なわなかったのだ。
新システムが機能していただけに、トリノの勢いに気圧された選手のプレーには指揮官も失望したことだろう。逆転ゴールが産まれかけた82分のFWマキシ・ロペスによるシュートシーンでは、カウンターの原因となったMFリッカルド・モントリーボがゆっくりとジョギングで戻っていたことがファンの怒りを買っていた。悲しいことに、一定の機能をみせていたチェルチやモントリーボ、ベルトラッチのプレーはドローという結果によって忘れ去られたに違いない。
一方で、注目される本田の起用法はチェルチのバックアッパーという位置づけであることが明らかとなった。つまり、前2シーズンの苦い記憶が蘇る“右ウイング”での起用だ。
インサイドハーフではなく前線でのプレーにこだわる本田にとっては、右ウイングは3トップの布陣において残された唯一の道である。それでも勝利への気迫が感じられない現メンバーを眺める限り、本田のプロフェッショナルな姿勢をミハイロビッチ監督が好む可能性は少なくない。
未だ11位と低調なパフォーマンスが続くミランだが、昨季に比べれば僅かながら前進しているのは間違いない。それでも、自信を喪失した選手を抱え、少しでも問題があれば介入してくるフロントをかわしながら結果を出していくことは非常な困難な仕事に映る。本田は今のチームに最も必要とされる「勝利への渇望」を注入することはできるのだろうか。
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