柴崎と宇佐美は物足りなさが残った
柏木も「攻撃の部分では良さを出せた。自分なりに相手が疲れている中でもうまくできたかなと。ただもっと決定的なチャンスを作ることもできた。手応えプラス反省点が見つかった」と代表レベルで戦える自信を取り戻した様子。
彼の場合、アルベルト・ザッケローニ監督時代は本田が担っていたトップ下のバックアップで使われることが多く、ナーバスになる傾向が強かった。が、本職のボランチならアジアレベルで十分やれるところを改めて示したようだ。
こうした面々に比べると、柴崎と宇佐美は物足りなさが残った。柴崎はベストメンバー下では6月のシンガポール戦(埼玉)以来のスタメンだったが、球際で勝てず、効果的なパス出しもできずと、本来の能力が陰を潜めた。
これについて本田は「岳には岳にしかない特徴がある。それをもっと出すために、このレベルに慣れていかないといけない。別に岳がパワーをつける必要はない。実際、イニエスタ(バルセロナ)はそこまで球際が強くないし、球際や局面で負けないうまさがある。それを練習や公式戦から身に着けていけばいいだけ」と柴崎へアドバイスを送っていた。先輩の助言をどのように生かすのか。彼には劇的な変化を求めたい。
宇佐美も「スタメンにこだわらない選手はいない」と代表通算2点目をマークしたシリア戦後に語気を強めていて、今回は待望の先発復帰だったはずだが、やはり相手対面にいたレザイアンに主導権を握られ、フィニッシュに行けるチャンスさえ非常に少なかった。好不調の波が大きいとやはり先発定着は難しい。得点力や守備面でコンスタントに戦力に慣れるように、自分なりに改善を促していくことが肝要だ。
まだまだ主力と控えの差が大きいことを露呈したイラン戦だが、ここから武藤や米倉を筆頭に多くの面々が主力に食い込んでくれないとチームの底上げは難しい。彼らが自覚を持つ意味でも、この一戦は大きかった。
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