先発組の合格点は武藤と米倉
わずか5分程度の出場でボールを触る機会がなかった南野、守備のクローザーとしてピッチに立った丹羽は評価材料が乏しく、判断を下しづらいものの、それ以外の6人は明暗が分かれた格好だ。
まず先発組で合格点を与えられる出来だったのは、同点弾の武藤と球際で戦った米倉。武藤は「前半は全くスペースがなかった」と本人も語ったように、前線でボールを触る機会が著しく少なく、起点になる動きができなかった。それでもスペースが空いてきた後半開始直後にゴールを叩き出したのは大きい。
この1点は彼にとって2014年9月のベネズエラ戦(横浜)以来の代表2点目。「長かった。だいぶ苦しかった」と彼も率直な思いを吐露していた。この泥臭い1点はマインツで体を張ったプレーを続けてきた成果。これで本格的に岡崎の定位置を競えそうだ。
米倉は宇佐美との左サイドが相手に攻略され、苦しい時間が長かったものの、8月の東アジアカップ・中国戦(武漢)のようにアグレッシブさを失うことはなかった。
「初めて海外組のいる試合に出て雰囲気にのまれてしまった。だけど監督から球際の部分は本当に厳しく言われていた。戦えない選手は必要ないと散々言われていたんで、そこは意識しました。今日の出来次第では次はないと言われていたので」と本人も覚悟を持って1対1に挑んだという。こうした姿勢は前向きに評価できるだろう。
後半から出た清武、柏木も相手の勢いが低下した追い風もあって、持ち味を発揮できたと言える。ハノーファーで10番を背負う清武は中盤でゲームを落ち着かせ、決定機につながりそうなチャンスをお膳立てするなど、明らかに香川よりいいプレーをしていた。得点の迫力も以前より格段にアップしており、このレべルを持続できれば香川とのトップ下併用も考えていいのではないか。