イタリア代表の不安要素とは?
前線では、スピードのあるエデルが完全に定着。中盤にも今後クラウディオ・マルキージオらが復帰することを考えればますます安泰である。「どこが相手でも手強いと感じてもらえる手応えはある。本大会までには“戦闘マシーン”を作り上げたい」とコンテ監督が自信を見せるのも納得である。
ただ、現時点では不安要素もなくはない。GKとCBコンビはユベントスのユニットそののままで、クラブにおける彼らのコンディションがそのまま代表の出来に直結する。しかし、レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニのコンビは代表になるとなぜかミスが増え、アゼルバイジャン戦でも彼らのミスから失点につながっていた。
フィオレンティーナで定位置を得つつあるダビデ・アストーリや、ミランに移籍したアレッシオ・ロマニョーリらがリーグを通して成長を果たさなければ、層は心もとない。ダニエレ・デ・ロッシは所属のローマで4バックのCBとしてもプレーしているが、代表でもそうせざるをえなくなるだろう。
そしてCFは、CB以上に人材難だ。往年のクリスチャン・ビエリや全盛期のルカ・トーニらと比べると、ファーストチョイスがグラッツィアーノ・ペッレというのもインパクトに欠ける。
ただ安定したポストプレーを保証するのも彼以外にはおらず、シモーネ・ザザはこの点で劣る。寂しいことに、それ以外の選択肢は現時点でほぼ見当たらない。潜在能力に疑いはなくても戦術理解力と規律が皆無なマリオ・バロテッリは、コンテが招集の対象とするかどうかも怪しい。
紆余曲折を経ながらも、新しい攻撃的なスタイルを見出したイタリア代表。ただこの骨格に、果たしてどれだけの肉付けができるか。セリエAのリーグ戦でクラブ間の競争力をアップさせ、新たな人材を発掘できるかも、本大会での成績を決める大事な要素となる。
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