絶対的な選手がいないからこそ、生まれる競争もある
予選の最後の2連戦で、まず本大会出場の切符を掴むことを最優先とする。つまり、取り戻したオートマティズムを崩すような実験は行わない。
「多くの変化を与えることは計算に入れていない。だが私はいくつかのポジションについてはあれこれ考えている」
新しい布陣など、全体のバランスを変えてしまうようなことには取り組まない。それでいて「いくつかのポジション」、とりわけサイドバックについてレーヴは考えを巡らせている。
ブラジルW杯が終わり、フィリップ・ラームが代表を引退して、1年以上が過ぎた。しかし未だに後継者は見つかっていない。ドルトムントのエリック・ドゥルムや、ホッフェンハイムのセバスチャン・ルディが試されてきたが、右SBにピタリとハマったとは言い難い。
9月のポーランド戦とスコットランド戦でプレーしたエムレ・ジャンは、SBというよりはボランチの選手が右SBでプレーしたという印象を残した。もちろん、ラームクラスのSBが欧州、引いては世界中を見渡してもそうそう見当たらないのも事実だ。レーヴも、そのことは十分に承知の上である。
「フィリップ・ラームのような傑出した選手をすぐに埋め合わせることができるということを、期待することはできない。若い選手は時間を必要とするし、学ばなければならない。私はこのことを問題ではなく、チャンスと見なしている。多くの選手、そして我々にとって、様々なことをテストするための」
レーヴは、人材不足を好機と捉えている。絶対的な選手がいないからこそ、生まれる競争もある。また様々な選手を試すことで、チームとしてテストできることも多くなる。
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