距離感が遠かった前半。ハーフタイムでの修正で劇的に改善
「ホタル、ホタル~」
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はオマーン・マスカットのシープ・スタジアム全体に響き渡る大声で、何度もこう叫び続けた。
8日の2018年ロシアワールドカップアジア2次予選・シリア戦(マスカット)。前半の日本は相手の凄まじいプレスと寄せに遭い、岡崎慎司(レスター)や香川真司(ドルトムント)に思うようにボールが入らなかった。
加えて、ボランチ・山口蛍(C大阪)のところでも球際に勝てなかったり、ボールを失ったりするミスが目立ち、たびたびカウンターを食らっていた。8月の東アジアカップ(中国)では圧倒的な接近戦の強さを見せていた25歳のダイナモがここまでバタバタする展開は、指揮官も予想外だったのだろう。
「あれは蛍だけの責任ではないんです。みんながもっと近い距離にいれば、蛍がプレスに行った後も2人で挟みに行ったりできた。前半はそういう形になっていなくて、サイドの前の選手もずっと開きっぱなしだった。監督もハーフタイムには全体的に距離感が短くなるように真っ先に修正をしたんです」と長友佑都(インテル)はピッチ上で起きていた問題点を説明していたが、この違和感はチーム全体の共通認識だったという。
ハーフタイムの修正を経て、迎えた後半は確かに選手個々の距離が近くなり、2人3人と連携して攻める場面が増えてきた。そして後半9分に岡崎がPKを奪い、本田が先制点をゲット。
さらに25分に香川のドリブル突破からの折り返しを岡崎が決めて2点目を挙げる。終盤には本田の裏への飛び出しからのラストパスに反応した途中出場の宇佐美貴史(G大阪)がダメ押し弾となる3点目を決め、気温35度の酷暑の中立地での一戦を首尾よく制することができた。