苦しんだゴールの呪縛…現在はチャンスの起点に
まさしくシリア戦のハイライトとなるプレーだったが、厳しい環境の中でも試合を通じて攻撃のリズムを作り、守備でもプレスから引いた位置でのセカンドボールまで、幅広くプレーに絡んでいた。相手GKが痛んだところで給水のタイミングができると、ベンチから出てきた丹羽大輝らと話をして何かを確認していた。試合後に聞くとこんな回答が返ってきた。
「どこが空いているとか、そういう話はしていましたし、前半ちょっとバタついていたので。ボールを回していたらチャンスもあったんですけど、そこはちょっとミスがあったりしたので、うまく話し合いながらやるようにはしました」
1点目は長谷部誠の縦パスに岡崎が走り込みPKを獲得したが、後半には「プレスが弱まったり、中盤が空いてきたりしたので、ボールを出せるなっていうのが立ち上がりからあった」という攻撃イメージの共有ができており、この場面でも岡崎の背後を走って折り返しを受ける準備ができていた。
一時期は周りのプレッシャーもあってか、ある意味でゴールの呪縛に苦しんでいた様にも見えた。しかし、現在は攻撃のリズムを作り、チャンスの起点になるという重要な役割があり、その先にゴールがあるというイメージの整理ができていることが発言からも分かる。
「ゴール前で引き出して呼び込む動きであったり、そういうのを増やしていかないといけないですし、パス出せるところではありますけどシュートで終わったりとか。そこは判断ですけど、そこは次の試合に向けて意識を持っていきたい」
こう語る様に、もちろんゴールの意識は常にあり、彼の中でも課題であることは間違いないが、日本代表における彼のより本質的な価値を再認識させるシリア戦のパフォーマンスだった。
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