「自らの意見を述べた選手への罰金はおかしいことだ」
繰り返すが、私は彼の意見に賛成している。一般的に、民主主義のイタリアでは発言することは自由だ。彼は誰かを傷つけ、誹謗中傷しているのではない。彼が言っていることは、紛れもない真実なのだ。
ミランはここ数年、サポーターを過小評価してきた。ファイナンシャルフェアプレー(FFP)とイタリアの不景気により、今はビッグネームを獲得することが難しい。代わりに、若い選手でチームを立て直そうというのであれば、クラブはそれをサポーターに正直に話し、理解を求めるべきだ。
この夏は9000万ユーロ(約121億円)以上の金額を投資したにも関わらず、昨季よりも良い結果が出せていないことから、失敗であることは明らかである。
クラブは本田に罰金を科すという報道もあるが、それはおかしいことだ。例えば、バロテッリはこの夏に加入してすぐスピード違反を犯したが、罰金はなかった。にも関わらず、自らの意見を発言した本田に罰金が科されるようなことがあれば、納得はできない。
この一件に対するミランのリアクションを、世界中が見つめている。特に、日本とアジアでのイメージが判断されることになる。
ピッチで結果も出ていないミランへの評価は低い。その上、自分の意見を述べた選手に対して罰金を科すようなことがあれば、さらにイメージはダウンするに違いない。
シルヴィオ・ベルルスコーニ会長は、選手にとって父親のような存在であったはずだ。常に選手の意見を大切にし、選手を守ってきた。だから、今回も“息子”である本田の意見には耳を傾け、今後のクラブ経営に活かしていくべきだ。
果たして、ミランが本田に罰金を科すのか、今後の出場機会を奪っていくのか。これからそれを見守っていかなければならないが、彼の発言が、かつてのような栄光を取り戻すきっかけになってくれることを、私は願っている。
【了】