自分に対して常に正直であるからブレない
サッカー選手は試合に出ていなければ、どうしてもパフォーマンスが落ちる。本人はその現実を受け入れつつも「僕は何をやるにしても自分に正直にやっているんで、ブレることは絶対にないです」と断言。アマチュア選手のいるセカンドチームでプレーするなどできる限りの努力を重ねてコンディションを維持しようとした。
「みなさんが心配するのも分かりますけど、僕もプロを10年以上やってきて試合に出ていないときもあった。試合勘がズレることもあるかもしれないけど、それを経験でカバーしないと。代表で結果を出せなければ選ばれないだけ。そこは自分の中でクリアになっています」と妥協を許さず自身を追い込んだ。
こうしたストイックさはチームメートにも前向きな影響を与える。本田や長友佑都(インテル)らが2014年ブラジルワールドカップまでの4年間、貪欲に世界トップを追い求めたのも、長谷部の姿勢から刺激を受けた部分が多少なりともあったはずだ。
ブラジル大会を控えた昨年1月に右ひざを負傷し、大会直前まで別メニューを強いられても、彼は自分を信じて本番に照準を合わせた。だが、3試合のうち2試合(3戦目のコロンビア戦はフル出場)は途中交代を余儀なくされ、チームも惨敗。
責任を痛感した長谷部は「これからは若い選手がキャプテンをやるべきだと思う」と身を引く決意を口にした。代表としては今後も戦い続けていく意思は持っていたが、日本代表がもっと強くなるためには若手の台頭が不可欠だと、彼にはよく分かっていたのだろう。
長谷部の言葉を受けて、ニュルンベルクで1シーズンを一緒に戦った清武弘嗣(ハノーファー)が「自分が今までサッカーをやってきた中でハセさんは一番のキャプテン。プレーだけじゃなく、周りに目を配れるとか、気持ちの面とか、ホントに素晴らしいと感じた。4年後は自分がキャプテンマークを巻いてピッチに立つことを考えてこれからを過ごしていきたい」と背中を追っていく意欲を公言した。
長谷部のやってきた仕事がチームメートから大いにリスペクトされていたことが、清武の言葉から色濃くうかがえた。