ポジション変更が影響。攻守に精彩を欠いた香川
その後、ドルトムントは35分にPKを与えて再び失点を喫した後に4-2-3-1へとシステムを変更。オーバメヤンの得点で36分に1点差に追いつくと、バイエルンは37分に4-4-2にスイッチ。
すると、シャビ・アロンソはやはりビルドアップ時に2CBの間に入り、3バック形式となる。ドルトムントは4-2-3-1に変更しているため、前線中央にはオーバメヤンと香川の2人。香川はシャビ・アロンソへ付いているため、左CBに入ったボアテングはまたもフリーとなり46分にレバンドフスキのゴールへとつながるロングパスを許している。
1-3となってからは、香川が「いい感じに1-2にして、これからっていうときに、ああいう30秒でやられちゃうとやっぱり厳しいのかな」と語るように、ドルトムントの気持ちは切れてしまった。
バイエルンは、5-1とした後の81分には4-1-4-1へと変更して試合を締めた。90分の間に相手の出方に合わせて3つのフォーメーションを駆使してリーグ最大のライバルをも蹴散らした。
さらにこのプランニングミスは、守備だけでなく攻撃にも影響を及ぼした。前回のコラムでも記したように、今季の香川は4-1-4-1の左インサイドハーフとして起用されていた。
このポジションによって、CBのマッツ・フンメルスから直接パスを受けることでより多くボールに触れることでチームのリズムを作り出していた。
しかし、トップ下として起用されたバイエルン戦でフンメルスから香川へ渡ったパスはわずか1本。対象を他全選手に拡大しても香川に渡ったパスは、わずか15本でボールタッチも18回(図3)。出場時間が53分ということを考えても、極端に少ない数字となっている。
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