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香川真司 9年前

【データで読むドルトムント】なぜバイエルンに大敗したのか? 戦術の“犠牲”となった香川

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

ドルトムントを無効化したバイエルンの3バック

【データで読むドルトムント】なぜバイエルンに大敗したのか? 戦術の“犠牲”となった香川
【図2】バイエルンの平均ポジションとフォーメーション(Wyscoutより)

 しかし、それはバイエルンが3-5-2というフォーメーションを敷いたことによって、完全に無効化されてしまった。

 元来、シャビ・アロンソはアンカーとして起用された際には、ビルドアップ時に2人のCBの間に入り、3バックの中央のようなポジションを取る。ところが、平均ポジション(図2)を見ると、そもそもアラバ、マルティネス、ボアテングが3バックを組んだことで、シャビ・アロンソのポジションはより前めに位置している。

 ハーフフェーライン付近にいるアロンソの後方にはバイエルンの3バックがそびえ立つ。「アロンソに付け」と指示されていた香川は、その2つのラインに挟まれる格好となってしまった。

 その混乱は1失点目のシーンに凝縮されている。3バックの中央から前線へロングパスを送るボアテング。その前方には香川。しかし、シャビ・アロンソをマークする香川はボアテングに対しては傍観者となってしまい、たっぷりと狙いを定めたキックを許してしまっている。

 仮にバイエルンが4バックを敷いてきた場合、このボアテングの位置にはシャビ・アロンソが入るため、香川はそこにプレスをかけていたはず。そうすれば、このロングパスは通っていなかった可能性も高い。

 香川は試合後、相手が3バックでスタートしたことについて質問されると、「3バックでしたっけ?」と答えている。ドルトムントがチームとしてバイエルンに対応できていなかったことの表れといえるだろう。

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