チーム内競争を活性化させるか
「できるだけ背後へのグラウンダーのパスを使い、走り込んでくる3人目、4人目を使う。グラウンダーのスピードを伴い、いろいろなバリエーションを作りたい」
ハリルホジッチ監督は目指している攻撃スタイルをこう表現するが、相手が強くなってくるほど、その実現は難しくなる。
例えば1回の攻撃において相手陣内でつなげるパスの回数が減れば、それだけ1人の選手が連続的に絡みにくくなるわけだが、南野はボールを捌いたところから最短距離で危険なエリアに入っていけるタイプで、ザルツブルクでもワイドなエリアで起点になりながら、相手から消える様な動きでゴール前に顔を出すシーンが目立つ。
「常に得点を取る、もしくは取らせるポジションにいる」と指揮官が評価する南野はアタッキングサードやペナルティエリアの中でも相手DFがいないところに侵入して、そこで正確なフィニッシュやラストパスを実行できる選手で、GKとの駆け引きにも長けている。
そうした能力はオプションの2トップでも活かせるが、4-2-3-1のウィングからゴール前に迫力と質をもたらす存在として重宝されるだけの資質がある。
現実的にはテストとして位置付けているイラン戦がA代表デビューのチャンスになるが、彼の意欲的なプレーは合宿の初日から攻撃陣の先輩達に刺激を与えるはずだ。
当日のコンディションを抜きに予想するならば、シリア戦で3人が出場する可能性は塩谷が60%、柏木が30%、南野は10%と言ったところだ。
ただ、彼らの選出はある意味でハリルホジッチ監督の志向を示すメッセージでもある。チームとしてシリア戦、さらにはイラン戦の勝利を目指す中で、彼らがどういう効果をもたらすのか、そして試合でチャンスを与えられた場合に実力を発揮し、定着につなげられるのか。
ここからチーム内の競争を活性化する意味でも注視するべきポイントだ。
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