必要に迫られた守備の再考
2敗でグループ最下位のアーセナルは、もはや手遅れかもしれない。次節からはバイエルンとの連戦だ。決死の覚悟が後方のスペースとなって裏目に出れば大敗さえあり得る。
ただし、攻めの基本姿勢を貫きつつ失点の可能性を減らすことは可能。アーセナルの守備は対セットプレーの弱さが大きな問題なのだ。オリンピアコス戦(2-3)でも、前半にしてCKから2失点。機能しているとは言えないゾーン式のマークを、各自が役割を把握しやすいマンツーマンに変えてみるのも1つの方法だ。
そして、ペトル・チェフ温存を止めること。ベンゲルは新守護神の「軽傷」をベンチの理由として挙げていた。第2GKのダビド・オスピナが、凡ミスとしか言えないファンブルでゴールを献上しようとは誰も予測できなかった。
それでも采配ミスの感は否めない。初戦でもオスピナが起用されたように、国内外でGKを使い分ける方針だったのだろう。だが、不覚をとったディナモ・ザグレブ戦を受けてベンゲル自身も認めていた「必勝の一戦」には、自軍最後尾までベストメンバーで臨むべきだった。
常々、「CL出場権はタイトルと同等」と言っていたのはベンゲルだが、欧州でのプレミア勢衰退が続けば、その“タイトル”獲得もトップ4争いからトップ3争いへと激しさを増す。ベンゲルからモウリーニョまで基本ポリシーの別にかかわらず、CL出場組のプレミア監督陣が守備を再考する価値はある。
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