欧州で衰退するプレミア勢。失われた「欧州仕様」の戦い方
近年、欧州で衰退気味のプレミアリーグ勢。今季の4チームも、CLグループステージ2節を終えて計3勝5敗と負け越している。UEFAランキングで、リーグ3位までのCL出場と4位の最終予選出場を約束するトップ3の座をイタリアに奪われる危険性は高まる一方だ。
衰退の原因特定は難しい。「クオリティ不足。本当のトップクラスはバルセロナ、レアル・マドリー、バイエルンといったクラブを選ぶ」と悲観的なのは、元マンチェスター・ユナイテッドMFのポール・スコールズ。マンチェスター・シティが、初戦でユベントスに狙い通りのアウェイゲーム勝利を実現されたこともあり、戦術理解力の差を指摘する識者も多い。
だが、他のプレミア勢敗戦は、総合力や戦術力で互角以上の相手との対戦ではなかった。より共通性のある問題点を挙げれば守備力になるだろう。思えば、プレミア勢が決勝トーナメント常連と化した当時、チェルシーは前回ジョゼ・モウリーニョ体制の流れを汲む堅守速攻型のチームだった。
リバプールでも堅守前提のラファエル・ベニテスが指揮を執っていた。ユナイテッドを率いていたサー・アレックス・ファーガソンにしても、CLでは中盤を厚くするなどしてリスク軽減を図る「欧州仕様」の戦い方を採用していた。
それが今では、チェルシー復帰3年目のモウリーニョもオーナーが望む攻撃的スタイル確立に取組中。新勢力のシティ指揮官はマヌエル・ペジェグリーニ。その攻撃志向の強さは、アーセナルで長期政権を敷くアーセン・ベンゲルに勝るとも劣らない。
この傾向自体は悪くないが、名前に「リーグ」とあるCLを決勝進出まで9試合の欧州版カップ選手権と捉えれば、着実に駒を進める上で役立つ堅守の軽視はハンディとなりかねない。