ふと感じた新しき“黄金世代”到来の予感
さらには、ラツィオに所属する20歳のクリス・イコノミディスはトップでの試合出場はまだながら、既に3キャップを得ている代表では招集の度にチームメイトから様々な薫陶を受けている。この2人は、近い将来に必ず豪州攻撃陣を引っ張る存在になるのは間違いない。
それだけではない。18歳でボルシア・ドルトムントに移籍して以来、将来を嘱望され続けてきたアフロヘアのファンタジスタ、ムスタファ・アミニ。彼も4年在籍したドルトムントを離れ、今季からデンマークのラナースFCに移籍。すぐに定位置を確保し、主力として試合出場機会を得ているだけに、なかなか実現しないままのサッカルーズ選出が22歳の今年になって実現する可能性は高い。
とここまで、取り上げた若手有望株の5人はいずれもMF、しかも全員攻撃的なポジションが本職だ。最年少のダシルバが18歳、最年長のルオンゴでも23歳と世代的にはほぼ同じといって差し支えない。
しかし、現実的にこの5人が一緒にプレーすることは難しい。彼らのうちの2、3人は弾き飛ばされることになる。そこを踏まえて、18年のロシアW杯までのチーム作りで、誰をメインに据えるのか。この豊富なタレントを少しでも多く活用できるような方策は無いのか。そんなことにも、ポスタコグルー監督は大いに頭を悩ませることになる。
ストライカーのユリッチ、中盤のルオンゴ、ロギッチ、23歳のセンターバックのトレント・セインスベリー(FCズウォレ)、そして23歳の守護神マット・ライアン(バレンシア)。彼らの世代が順調に伸びて、ここから3年の経験と自信を携えてロシアへと乗り込めるのであれば、豪州サッカーの将来を悲観せずともよい。
もしやこれは、新しき“黄金世代”の台頭なのかもしれない――。今まで特には意識していなかったが…。
とはいえ、あまり先のことを話すと鬼が笑いかねない。まずは10月8日の敵地でのヨルダン戦にしっかり集中しよう。アウェイの厳しい戦いの中、次世代の主力候補たちの躍動に希望を見いだせるようにじっくり見守りたい。
【了】