敗戦を悔やむ手倉森監督
しかしながら、攻撃の形をほとんど作れず、コーナーキックからの一発で失点。そのシーン以外にもカウンターからピンチを招いた90分間を総括すれば、このひと言に集約されるだろう。
笛吹けども踊らず――。
コーチとしてベンチ入りし、実際に指揮を執ったU-22日本代表の手倉森誠監督は「メンバーを決めて、前後半のやり方を決めた段階で町田とは五分だと思っていた」と振り返った上でこう嘆いた。
「このチームを立ち上げたときから、守備に重きを置いている。いい守備からいい攻撃へというところで、今日も守備から入らせたのは間違いない。そこからいい攻撃というものが生まれなかったことに対して、(選手たちは)何を大事にして戦っているのかと感じました。結果的に歯がゆいですよね」
特例で選手を招集した関係もあり、大島、岩波、喜田、浅野らは45分間しか起用できなかった。後半開始とともに岩波を含めた4人を投入し、システムをそれまでの「4‐2‐3‐1」から「3‐4‐2‐1」に変えた以外は、流れを変えるような采配を打てなかったのも事実だ。
それでも、首位のレノファ山口と対峙した9月20日の天王山で一敗地にまみれたゼルビアに、サッカーの原点の部分で後塵を拝した。球際の攻防で後手を踏み、岩波、植田直通(鹿島アントラーズ)、奈良竜樹(FC東京)の長身DFで最終ラインを組んだ後半に、自慢の高さで競り負けてゴールを割られた。
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