メディアを巻き込む理由
――それもあって野々村さんはテレビに積極的に出ているわけですね。
「以前はお金を貰って出ていたけど、いまは『お金いらないから出してくれ』と言って出ていますよ」
――北海道日本ハムファイターズとの関係はどうですか。メディアという意味では非常に大きなライバルだと思います。
「上手くやっていこうと思っているけど、簡単じゃない。僕は、野球はショービジネスだと思っている。ショービジネスとして歴史もあるし、ビジネスモデルとして素晴らしい。でも、サッカーは最終的にはショービジネスではなくなるというか、文化になっていくんだと思う。
ショービジネスと文化、コアとライト、いまのJリーグには両方の要素がないといけないし、コアを増やすにはライトを増やさないといけないから、野球から学ぶことはすごく多いと思っている。
でも野球のファンとサッカーのコアサポーターは全然質が違うものだから、それは一緒に考えない方がいい。野球を観に行く人は、本当に気楽な感じでライトな気分で観に行く。サッカーはどちらかというと、『俺のこのクラブを』という生活の一部として観に行く。
そこでは勝ったときの喜びの度合いも違うし、一緒にはなかなかできない。野球は野球でサッカーの脅威は絶対的に感じているはずで、もしメディアの露出がイーブンになった時は、野球が相当やられるという感覚を持っているんじゃないかなと思っている。北海道だったらもう9:1くらいだからね」
――9:1ですか。
「時間で言ったらもっと差があるかもしれない。95%対0.5%くらいの感じかもしれない」
――コンサドーレ札幌がJ1へ上がったとしてもそんなに変わらないですか?
「ちょっとよりを戻すくらいかな。そこが野球が生き延びているところだと思う。毎日試合があって、露出が普通にあって……。その露出が減ったとして、サッカーがその半分を獲ったとするなら、確実に札幌ドームは3万、4万の観客が来ると思う」